いざ「化粧品を創りたい!」と思っても、数多あるOEMメーカーからどこの会社を選んだらいいのか、どんなアイテムを創ったらいいのか、頭を抱える企画担当者が多いのではないでしょうか。
そこでコスメティックプランナー恩田雅世が、外部ならではの視点でホシケミカルズ担当者に切り込み、商品企画のヒントとなるようなトレンド情報や美容の潮流、さらにOEM/ODMの深部にぐぐっと迫る対談企画。他では聞けない裏話もこっそり聞いちゃいます!
登場人物プロフィール
恩田雅世 | ホシケミカルズ広報S | ホシケミカルズ商品企画Y | ホシケミカルズ販促M |
コスメティックプランナー。数社の化粧品メーカーで化粧品の企画・開発に携わり独立。現在、フリーランスとして「ベルサイユのばらコスメ」開発プロジェクトの他、様々な化粧品の企画プロデュースに携わっている。コスメと女性心理に関する記事も執筆している。 https://onda-media.com/ |
ヘルスケアアイテムのBtoC広報を経て、 販売時の切り口や訴求点とともに、理性(技術や理論)と感性( |
ホシケミカルズでは異色の化粧品メーカー研究部門出身という企画 化学の豊富な知識や知見に基づき、 |
販促担当としてメルマガや動画の撮影& 前職での複数のソーシャルメディア運営実績を活かし、 |
近年、様々な環境に配慮した活動が活発化しており、日常生活の中で“サステナビリティ”を意識した商品やサービスを目にすることが増えてきました。
※Z世代とは?
「現在、新たな消費の主人公として期待されている「Z世代」。年齢定義には諸説あるが、1990年半ば~2010年初頭に生まれた若者層を指すことが多い。」
そのような時代背景もあり、環境に配慮した商品開発や化粧品パッケージを採用する企業が目立ってきていますね。
新商品に限らず、大手メーカーを中心に既存ブランドにおいても、リブランディングとして導入するなど積極的な取り組みが見られています。
昔から知っている日焼け止めの有名ブランドのイメージチェンジは特に印象的でしたね。
そこで今回は、化粧品パッケージ(包装・容器)に絞り、最新のサステナブルな取り組みを教えて頂けたらと思います。
“植物由来”や“再資源化できる”素材の利用
まず1つ目の大きなトピックスとして「植物由来素材や再資源化ができる素材の利用」があげられます。
バイオマスプラスチックやリサイクル素材を使用した容器、段ボールや紙、バガス再生紙(非木材紙)を使用した外箱を採用する企業が増えています。
日本の段ボールは原材料の90%以上が使用済み段ボールと言われていますが、煌びやかなイメージの化粧箱に採用される時代になったんだな、と思うと時代の流れを感じます。
その他にも、FSC認証を得た包装(外箱やアテンションシールなどの包材)素材を使用している商品を多く見るようになりました。
最近よく目にするのですが、FSC認証とはどういうものなのでしょうか?
FSC認証とは、環境・社会・経済のために、きちんと管理された森林からの製品を目に見える形で消費者に届けることにより経済的利益を生産者に還元する仕組みのことで、木材から作られる紙素材などがきちんと環境に配慮して作られたものであることを示すFSCマークの表示が可能となります。
不要になったものを“再使用”する取り組み
他に注目のトピックスを教えて頂けますか?
使用済み容器等をそのまま使用する「リユース」への取り組みがあげられます。
具体的な事例を教えて頂けますか?
詰め替え品やレフィルを活用し本体容器を再使用することで、消費するプラスチック量の削減に取り組む事例が増えてきましたね。
高価格帯のブランドでもレフィルを採用しているところが本当に増えました。サステナブルなのはもちろん、容器の分がお安く買えるのであれば消費者にとってもメリットがありますね。
その他の特殊な事例として、使用後の容器を雑貨として再使用する提案をしているブランドもありました。
化粧品としての容器の役目が終わった後も、また新しい使い道で使い続けられるという発想が新しいと思います。
新しいと言えば、通常であれば廃棄されるような木の端材を容器の一部として活かし再利用しているブランドがあり、ユニークな取り組みだと思いました。
実はそちらは「リユース(商品容器などをそのまま再使用)」というより、近年注目の「アップサイクル」という取り組みの方にあたるかと思います。
素材をペットボトルのように再生資源に分解することなく、特徴をそのまま活かして“別のものに再利用する”ことで価値を高めている点が「リサイクル」との違いのようです。
言葉の定義が難しいところですが、どちらも“不要になった物を再び利用”するという点では共通する部分がありますね。
“リサイクル”や“廃棄量削減”に適したパッケージ設計
3つの目のトピックスとして「リサイクルがしやすいor 廃棄量が少ないパッケージ設計」があげられます。
「リサイクルしやすい」とは、捨てる時に分別や洗浄をしやすいように化粧品容器をつくるということですね。
はい、洗いやすさも大切ですが、化粧品容器は構造が複雑で、特に金属とプラスチックのように異素材を組み合わせて設計された容器は、廃棄時の分別が難しいという課題があります。
そのため、構成素材をシンプルにして分別廃棄をしやすくする容器の開発が期待されています。
複雑な構造のせいで分別や洗浄がしにくいとなると、資源としてリサイクルすることができないので重要なポイントですね。
異材質使用容器については、消費者が捨てる時に簡単に分解しやすくしている商品も見つけましたが、まだ少ない一例にすぎないのですね。
化粧品の本体容器で新しい機構を開発するのは中小企業にはなかなか厳しいですが、比較的取り組みやすい方法として、化粧箱のバージンシールの代わりにミシン目を採用することで使用資材を紙に集約したり、説明書を別紙で作らずに化粧箱の内部に直接印刷することで、廃棄にかかる手順や廃棄物を減らす工夫がされているという事例もありました。
最近は、化粧品カウンターにいっても、ペーパーレス化が進んでいてリーフレットを作っていないという商品も多く、QRコードで読み取って商品情報をネットで見るのがスタンダードになってきていますね。
パッケージもミニマル(必要最低限)にすることで販売価格を下げているメーカーもありましたが、過剰な包装や資材の見直しを図る流れは、今後も続いていくと思います。
次世代技術の登場も!燃焼時のCO₂を削減
その他、教えて頂いたトピックス以外に注目されていることはありますか?
「燃焼時の二酸化炭素発生量を低減した包装・容器素材」の登場にも注目しています。
興味深いですね、詳しく教えてください。
プラスチック素材に特殊な成分を添加し、最終焼却処分時に発生するCO2を大幅に削減することが出来るという技術や、石灰石を使用することでプラスチック量を削減した外装向きの新素材などがあります。
前者については、有名オールインワンジェルメーカーのジャー容器での採用が話題となりました。
焼却時にはかならず出てしまうCO2の発生を少なくする、というのは画期的ですね。
中身が洗いにくく、リサイクルできない「燃やさざるをえない容器」などに導入されると良さそうですね。
そのようにできたら理想的ですが、業界の道のりはまだ道半ばという印象です。
ただ、環境への配慮や、循環社会の実現に貢献していく意識は、化粧品メーカーに限らずですが企業の姿勢として今後求められていくと思いますので、今回あげたトピックスやそれ以外も含めて将来的に様々な技術の開発が進んでいくものと考えられます。
ますます進んでいくサステナビリティのトレンドを考慮し、化粧品開発を進めていく段階で、サステナブルなパッケージの採用も視野に入れながら検討してみることも、これからは必要になってきそうですね。
はい。新商品発売の予定がないお客様でも、まずは既存商品の包装資材のスリム化(ミニマル化)や、環境に配慮したサステナブルなパッケージへのリニューアルすることで売り上げ活性化のきっかけになるかもしれないので、検討する価値はあるかと思います。
新規素材は化粧品の中身との相性の確認に時間を要することもあるため、直接バルクに触れない外装からが検討しやすいのでおすすめです。
消費者が商品を選ぶ際、効能効果やブランドストーリーとあわせて「環境に配慮した商品かどうか」も購買条件の一つになりうる時代の流れを考えると、とても大切なポイントですね。
本日は、環境に配慮した化粧品サステナブルパッケージの最新動向について、具体的な事例をまじえながら色々とお話を伺うことができました。
ホシケミカルズでは、サステナブルなパッケージの提案もしています。ご興味ある方はお問い合わせ頂けたらと思います。(注:容器材質と中身の適正確認が必要な場合があります)
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