いざ「化粧品を創りたい!」と思っても、数多あるOEMメーカーからどこの会社を選んだらいいのか、どんなアイテムを創ったらいいのか、頭を抱える企画担当者が多いのではないでしょうか。
そこでコスメティックプランナー恩田雅世が、外部ならではの視点でホシケミカルズ担当者に切り込み、商品企画のヒントとなるようなトレンド情報や美容の潮流、さらにOEM/ODMの深部にぐぐっと迫る対談企画。他では聞けない裏話もこっそり聞いちゃいます!
登場人物プロフィール
恩田雅世 | ホシケミカルズ広報S | ホシケミカルズ商品企画Y |
コスメティックプランナー。数社の化粧品メーカーで化粧品の企画・開発に携わり独立。現在、フリーランスとして「ベルサイユのばらコスメ」開発プロジェクトの他、様々な化粧品の企画プロデュースに携わっている。コスメと女性心理に関する記事も執筆している。 https://onda-media.com/ |
ヘルスケアアイテムのBtoC広報を経て、 販売時の切り口や訴求点とともに、理性(技術や理論)と感性( |
ホシケミカルズでは異色の化粧品メーカー研究部門出身という企画 化学の豊富な知識や知見に基づき、 |
今回は「化粧品を開発した後にできるサステナブル施策」についてお話をお伺いしたいと思うのですが、SDGsについて世間にだいぶ浸透してきた印象があります。
以前は、化粧品業界における「企画・製造段階でのサステナブル」についてお話しましたが、そこから一歩先の「製造後のサステナブルな取り組み」を推進しているメーカーも増えてきています。
SDGs(持続可能な開発目標)の17のゴールのうち、ゴール12「つくる責任 つかう責任」では“2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用および再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する”ことが提唱されており、食品に限らずあらゆる分野において廃棄物発生を抑制することが求められていますね。
※SDGs(Sustainable Development Goals)とは?
2015年国連サミットにおいて採択された「持続可能な開発目標」のこと。持続可能な社会を実現するために、貧困問題、環境問題、ジェンダー平等の実現などの実現が織り込まれ、2030年までの達成に向けて世界が一致して取り組むべき17の目標で構成されています。
参考リンク:持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組(外務省HPより)
食品ロスや、売れ残った衣料品の大量廃棄問題についての関心が高まり、削減に向けた動きが消費者を巻き込む形で推進されてきていますが、化粧品業界においても廃棄物の削減と再発防止は大きな課題となっています。
化粧品業界においては、トレンドの移り変わりや需要予測の難しさだけでなく、UVケアや制汗剤などの季節商材もあるので在庫を抱える可能性はありますよね。
そうですね。とくに店頭では、商品を売るためにシーズンアイテムを大々的に陳列してアピールする必要があるので、大量に仕入れて季節が終わり、売れ残った商品は、返品となってしまう可能性がありますね。
大手企業を中心にドラッグストアなどの小売店を通して販売している企業は、過剰在庫が生じやすいからこそ、発売後の商品のあり方についても責任をもって考えていく必要がありますね。
そうですね。特に社会への影響が大きい大手企業を中心として、課題解決のため、企画や製造の段階だけでなく、製造後のサステナブルな取り組みを開始している企業も増えてきました。
具体的に教えて頂けますか?
季節商材の返品在庫やブランドリニューアルに伴う旧パッケージ品、外箱だけに傷がある商品等をアウトレット品として専用ECサイトにてお買い得価格で販売する取り組みが広がってきた印象があります。
また、アウトレット専用の店舗を出店し、そこで販売しているメーカーもでてきました。
ゴール12「つくる責任 つかう責任」を体現できる場が増えてきたのは素敵な流れですね。
メーカー側は、今までコストをかけて廃棄するしかなかった商品を減らすことができ、買う側もきちんと納得して、お得に欲しいものを買え、時には挑戦したかったコスメにトライできるなど、メーカー側と消費者がWin-Winの関係になれる試みだと思います。
これからはそういった“訳あり商品”も、ニーズを満たした立派な商品として生まれ変わることができるのは良いことですね。
そうですね。新しいニーズの創出に繋がれば、商品を無駄なく消費者に届けることが出来ると思います。
このような“訳あり品”を海外で、しかも小売りで販売するサービスもあるようですね。卸売にしないことで日本での再販を防ぎ、ブランド毀損を避けるメリットがあるのではと考えられます。
今まで、特に高価格帯の化粧品がディスカウント販売に踏み出しにくかった一因として、“ブランド毀損”の問題があるのではと思います。
そこを避けることができるような仕組みができれば、これからも活用の幅は広がっていくのかもしれません。
サステナブルの機運の高まりが、新たなサービスを提供するビジネスを生んでいるのですね。
その他にも、消費者に向けたBtoCの販売ではなく、会員登録した特定の事業者を対象にしたクローズドマーケットのみで“訳あり品”を販売する、BtoB(企業向け販売)のサービスを提供している会社もあるようです。
既存の販売網に悪影響を及ぼすことなく在庫の活用ができるのは、メーカーにとってありがたいですね。
また近年では、再販売するだけでなく、ノベルティとしての商品活用や、経済的困難を抱える人を対象に無償提供するプロジェクトなども話題になりました。
有名なコスメランキングサイトが主体となったこともあり話題になりましたよね。最近では特にどのような取り組みに注目されていますか?
大手メーカーや販売店での使用済み容器回収サービスが加速している印象があります。
背景を調べてみると、リサイクル困難とされてきたモノを回収、再利用するサービスを展開している米国に本社を置く企業の活躍があるようです。
確かに、大手企業を中心に積極的にこのようなサービスを導入していますね。
持ち込み点数によってポイント付与したり、割引サービスを提供したりと販売促進にも活用しているようです。
使用済み容器がポイント等で還元されて次の買い物に利用できるというのは、サステナブル意識の高い消費者に限らず魅力的なサービスであり、店側にとっては来店頻度を上げるメリットにもつながりそうですね。
容器回収により付与されたポイントを、寄付に回すこともできるサービスを提供しているメーカーもありますが、まさに循環型の社会の創生に近づいていますね。
SDGSの17のゴールは“世界中のみんなが幸せに暮らし続けるため”に設定された目標ですが、一人一人の小さな行動変容の積み重ねが、大きな変化に繋がっていくと思います。
化粧品は、リサイクルに対して衣料品ほど技術や仕組み作りが出来上がっていない、と思っていましたがこのようなサービスを提供している会社とタッグを組むことなどにより、リサイクル技術を持たないメーカーでも大きくサステナブルに貢献できそうですね。
はい、元々化粧品のリサイクルは、容器の洗浄が困難なうえ、ガラス・アルミ・ペット、プラスチックなど様々な素材が組み合わさって一つの容器になっているものが多く、リサイクル推進の壁が多くありましたので、そのあたりのノウハウを持つ企業の台頭はうれしいですね。
リサイクル技術が発展することで、化粧品業界も環境問題への取り組みが加速しそうですね。
今後は、SDGsに真摯に取り組むクリーンな企業から商品を買いたい、という消費者も増えてくるかもしれません。
売り手だけでなく、買い手である私たち消費者の意識変容も求められますね。
デパートで化粧品購入時、店員さんに「箱が傷ついているので新しいのに替えます」と言われたことがあります。
中身に関係ないのでそのままで良いと断りましたが、消費者の意識が変わらないと売る側も外箱に傷があるものは商品として売れない、という風になってしまいますよね。
中身に全く問題がなくても、箱が少し潰れているだけで不良品と捉えてしまうような意識も変わっていけたらいいですね。
消費者として化粧品のSDGSというと“なんだか難しそう”“少し面倒”と思ってしまうかもしれませんが、家庭内での食品ロスをなくすために食材を使い切る、食べ残しをしないということから始めるような感覚で、化粧品をきちんと使い切る、使い切った容器を回収サービスに出すということから始めれば良いのかなと思いました。
そうですね。今はまだ、大手メーカーや販売店を中心に始まったばかりですが、弊社としては、開発・製造段階でのサステナブルな取り組みを検討することはもちろん、消費者と一体となって取り組む「商品の使用後」の施策や、その仕組みを提供する事業者自体がもっと増えてもらえると、とてもとても有難いですね。
本日は、「化粧品開発後にできるサステナブル施策」について様々な視点から情報を頂きました。ありがとうございました。
記事で紹介した各アイテムについてお気軽にご相談ください。
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