いざ「化粧品を創りたい!」と思っても、数多あるOEMメーカーからどこの会社を選んだらいいのか、どんなアイテムを創ったらいいのか、頭を抱える企画担当者が多いのではないでしょうか。
そこでコスメティックプランナー恩田雅世が、外部ならではの視点でホシケミカルズ担当者に切り込み、商品企画のヒントとなるようなトレンド情報や美容の潮流、さらにOEM/ODMの深部にぐぐっと迫る対談企画。他では聞けない裏話もこっそり聞いちゃいます!
登場人物プロフィール
恩田雅世 | ホシケミカルズ広報S | ホシケミカルズ商品企画Y |
コスメティックプランナー。数社の化粧品メーカーで化粧品の企画・開発に携わり独立。現在、フリーランスとして「ベルサイユのばらコスメ」開発プロジェクトの他、様々な化粧品の企画プロデュースに携わっている。コスメと女性心理に関する記事も執筆している。 https://onda-media.com/ |
ヘルスケアアイテムのBtoC広報を経て、 販売時の切り口や訴求点とともに、理性(技術や理論)と感性( |
ホシケミカルズでは異色の化粧品メーカー研究部門出身という企画 化学の豊富な知識や知見に基づき、 |
いわゆる「歯磨き粉」や「マウスウォッシュ(洗口液)」など、口の中をケアするアイテムのことです。
長引くコロナ禍で、手洗い・うがい・マスク習慣が定着したことや、歯科医院への検診を控え、自分でケアする必要性が生じたことで、口内環境への意識が高まっていますよね。
特にマスクの着用により、今まで気づかなかった口臭を自覚しやすくなるからか、歯磨き粉・マウスウォッシュなどのアイテムが伸びてきています。
コロナ以前は、歯を白くしたいニーズがとにかく高かった印象です。
ホワイトニング専用サロンが続々オープンしたり、自宅で歯を白くするホームホワイトニングアイテムの発売が目立ちました。
ここ最近では特に、口内環境(歯周病や衛生状態)と病気の関係も知られてきており「セルフメディケーション」や「Well-Being(より良く生きる)」という考え方の広がりから、口腔内の健康を保つことに消費者の意識が向いていると感じます。
日本は、さらに高齢化社会などの背景もあり、コロナ終息後もオーラルケアは伸長するのではないか?とみています。
お口は、身体の入り口であり出口でもあるので、口腔内を綺麗にして感染症を予防しつつ、吐く息も綺麗にしていきたいという思いは共感できます。
また、ドラッグストアでも、従来のような比較的安価なマス向けの商品だけでなく1,000円を超えるような価格帯の商品も増えてきていますね。
中~高価格帯である、歯科医院専売品のようなプロユースの商品も、一般のECサイトで購入できたりと手軽に買えるようになってきています。
歯科医院でしか買えない商品というのが、今はほとんどなくなってきていますよね。
ところで、基本的な質問なのですが、口腔ケア商品は、「薬用○○」のような医薬部外品が多い気がするのですが、化粧品もあるのですか?
マウスケアの商品区分は、申請が必要な「薬用○○(医薬部外品)」のイメージが強いかもしれませんが、実は使用時にブラッシングを行う歯みがき類であれば、わざわざ申請をして医薬部外品の承認をとらなくても、化粧品区分として “ムシ歯をふせぐ”、“歯を白くする”、“口臭を防ぐ”などの医薬部外品と似たような効能を謳うことができます。
今まで、そのような区分に着目して商品をみていなかったのですが、化粧品カテゴリーでも使用する時にブラッシングを伴う商品であれば、医薬部外品とほぼ同等の訴求ができるとは驚きです!
実は、医薬部外品で表現可能な効果で化粧品との大きな違いは、「歯周炎」と「歯肉炎」の予防くらいなんです。
わざわざ医薬部外品で商品を出さなくても、企画するアイテムによっては化粧品で十分訴求できる可能性があるというのは、企画担当者の方には朗報ですね。
ちなみに、御社への口腔ケア商品に対する問い合わせも増えていますか?
そうですね。特に、昨年頃から問い合わせが増加しています。
口腔ケアアイテムの市場動向についてお聞きしたいのですが、まずは訴求内容の傾向を教えて頂けますか?
「美白(ホワイトニング)」「口臭」「歯肉炎」ケアが代表的です。
先程のお話にあったように、「歯肉炎」に関しては医薬部外品の申請が必要になるので注意しないといけないですね。
では、剤型や容器の傾向はいかがでしょうか?
従来からチューブ容器に入ったペースト状や、液体のマウスウォッシュが一般的ですが、それ以外にもジェルタイプ、ジャー容器に入れた粉状(パウダー)タイプ、泡で出てくるポンプフォーマ―タイプ等の形状がちょっと変わっているおもしろいものも最近はでてきています。
泡ででてくるハミガキ、個人的に気になっていました。
口臭の原因にもなる舌をケアもできる商品が大手から発売されていましたが、“舌磨き”がケアとして定着していくか今後注目していきたいです。
処方的な傾向はいかがでしょうか?
少量の水ですすげるような、発泡剤不使用のタイプや研磨剤無配合のもの、歯のエナメル質に近い成分で歯の表面を整える効果が期待できる「アパタイト」配合の商品など、歯や歯茎を根本からきちんとケアすることを目的とした処方が注目されているように感じます。
発泡剤を使わずに、少量の水ですすげるのは、歯の為だけでなく地球環境にもやさしいSDGs的な視点で今の時代にマッチしていますね。
クリーンビューティ的な思想は、口腔ケアにも影響を及ぼしているようで、ナチュラルやオーガニック系の訴求の商品も増えてきました。
個人的には、プロユースのような本格的な歯科ケア商材とナチュラル系の二極化がみられるな、と感じているのですが、御社はマウスケア市場のどのようなポイントに注目していますか?
やはり、マスクの習慣化で多くの人が気になり始めた口臭対策としての切り口は、非常にニーズが高いという点ですね。
確かに、口臭ケアは中高年のお悩みというイメージだったのですが、最近では若い方も体臭のひとつと捉え、エチケットとしてケアしている方が増えました。
外出先でも気になった時にすぐにケアできるような、携帯できる個包装タイプのマウスウォッシュや携帯用サイズの歯磨きセットなどは世相を反映していると思います。
「マスクギャップ」という言葉も登場し、マスクのない生活に向けて今のうちに歯のケアをきちんとしておこうと考える方が増えているようですが、審美的な意味合いだけでなく歯の健康は体の健康につながっているので、“お口メンテナンス”はとても重要ですよね。
口腔ケア商品全体をみても、発泡剤や強い清涼感などでケアしている気になる“ごまかすケア”から、きちんと根本から口腔内をケアしていくような商品の需要が伸びていくように感じます。
自分の身体は自分で守る、という考え方は口腔ケアにおいても求められているのですね。
今後もウィズコロナが続いていくことを考えると、消費者の口腔ケアへの高い関心は続くものと推察され、継続的な需要が見込める市場ではないかと感じています。今後も、引き続き業界の動きに注目していきたいと思っています。
本日は、コロナ禍ならではの世相も絡めて、口腔化粧品(マウスケア)について色々とお話を伺うことができました。ありがとうございました。
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