いざ「化粧品を創りたい!」と思っても、数多あるOEMメーカーからどこの会社を選んだらいいのか、どんなアイテムを創ったらいいのか、頭を抱える企画担当者が多いのではないでしょうか。
そこでコスメティックプランナー恩田雅世が、外部ならではの視点でホシケミカルズ担当者に切り込み、商品企画のヒントとなるようなトレンド情報や美容の潮流、さらにOEM/ODMの深部にぐぐっと迫る対談企画。他では聞けない裏話もこっそり聞いちゃいます!
登場人物プロフィール
恩田雅世 | ホシケミカルズ広報S | ホシケミカルズ商品企画Y |
コスメティックプランナー。数社の化粧品メーカーで化粧品の企画・開発に携わり独立。現在、フリーランスとして「ベルサイユのばらコスメ」開発プロジェクトの他、様々な化粧品の企画プロデュースに携わっている。コスメと女性心理に関する記事も執筆している。 https://onda-media.com/ |
ヘルスケアアイテムのBtoC広報を経て、 販売時の切り口や訴求点とともに、理性(技術や理論)と感性( |
ホシケミカルズでは異色の化粧品メーカー研究部門出身という企画 化学の豊富な知識や知見に基づき、 |
コロナ禍の現在においても、海外の現地メーカーから新規問い合わせが活発とお聞きしたのですが本当ですか?
はい。コロナ禍においても変わらないメイドインジャパン化粧品への関心が高い証拠だと感じます。今回は、わたし達がこれまで携わってきた化粧品開発で得た知見も交えながら、 「ASEANの化粧品動向」を今後の展望も含めてお話できたらと思います。
一般的にアジア市場を見る際、まずは中国、韓国を中心に考えがちですが、実はASEAN市場のコスメも成長が著しいですよね。
そうですね。むしろ勢いを感じます。ただし、ASEANという一つの括りで捉えるのではなく、各国の国民性や動向を丁寧に追っていく必要があると思います。
今回は「マレーシア」「シンガポール」「インドネシア」「タイ」「ベトナム」「フィリピン」に注目していきたいと思います。各国について特長を教えてください。
はい。各国の基本情報はこちらになります。
国別 | 人口 (万人) | 市場規模 (億米ドル) |
主な宗教 |
---|---|---|---|
マレーシア | 3,195 | 3,647 | イスラム教、仏教、ヒンドゥー教、 キリスト教 |
シンガポール | 570 | 3,721 | 仏教、イスラム教、キリスト教、道教、 ヒンドゥー教 |
インドネシア | 27,063 | 11,192 | イスラム教、ヒンドゥー教、キリスト教、 仏教、儒教 |
タイ | 6963 | 5,436 | 仏教 |
フィリピン | 10,812 | 3,768 | キリスト教、イスラム教 |
ベトナム | 9,646 | 2,619 | 無宗教、仏教、キリスト教 |
参照:「目で見るASEAN-ASEAN経済統計基礎資料-」アジア大洋州局地域政策参事官室
「マレーシア」は多民族国家であり、人種・宗教観・価値観の異なる人々のニーズがあります。SNSや口コミより、「自分にあうもの」「品質の高いもの」を選ぶ傾向があると言われています。美白ケアやハラルコスメにも現地ニーズがあるようです。
マス受けを狙った商品だけでなく、パーソナライズ化した商品やニッチ狙いなど肌悩みやターゲットを明確にした商品開発に商機がありそうですね。「シンガポール」はいかがですか?
「シンガポール」は、多くの化粧品企業がASEAN市場の中で重要視する国で、日本の大手ブランドも進出し、好調に拡大しています。ただ、シンガポール発のドメスティックブランドは、まだまだ少ない印象です。
多くの韓国コスメや日本のコスメが販売されていて、現地の方に大人気みたいですよね。まだ日本に上陸していないような新しい海外ブランドも続々とシンガポールで発売されていると聞きます。
「インドネシア」はいかがでしょうか?
「インドネシア」は、なんといってもハラル化粧品のマーケットが大きいのが特徴です。市場拡大に貢献している現地企業に加えて、欧米企業もハラル化粧品の投入をしてきています。
美容への関心も高く、すでに日々のスキンケア習慣も身についており1日の使用化粧品種類が6~7種類と他国に比べて多いと言われています。
近年のインターネット利用率の向上も後押ししていると思いますが、EC向けコスメも活況ですよね。
続いて「タイ」はいかがでしょうか?
「タイ」では美白市場の高まりが顕著です。美白ケア・UVニーズが拡大しているほか、高温多湿で汗をかきやすいため、そのような気候に対応したアイテムが多い印象ですね。
「ベトナム」「フィリピン」はいかがでしょうか?
「ベトナム」は南北に横断した地形で、北部ハノイと南部ホーチミンの2大都市でそれぞれの好み違うのがポイントとなります。
「フィリピン」は、ニーズがメイクアップ中心からスキンケアに移行してきているのを感じます。また両国とも潜在的美白ニーズがあり、今後拡大していきそうです。
ASEAN市場といっても、本当に各国それぞれのカラーがありますね。
これらASEAN諸国の中で、特に御社の強みが発揮できるのはどこの国になりますか?
現地企業だけでなく、日本企業のASEAN進出のサポートもされているのですよね。
はい。弊社の沖縄工場は、化粧品保税工場の承認を取得(※2017年沖縄地区税関より)していますので、“保税”と“質の高い海外製容器”(主に台湾・韓国製)を活用することでのコストメリットをご提供できます。
また、沖縄の地理的優位性によるリードタイム短縮も強みとなっています。
日本で最もアジアに近い「沖縄」に工場があるのですね。メイドインジャパンの高いクオリティーを保ちながらコストメリットがあるのは嬉しいですね。
またこの保税工場は、那覇空港に隣接する国際物流施設(沖縄グローバルロジスティクスセンター)内に設置されていることから、化粧品容器への充填・包装・梱包から、製品・化粧品容器等の海外貨物の保管まで可能となり、輸出入を含めた「一貫物流」が実現しました。
容器は、化粧品の世界観を伝える上でとても大切だと思います。特に最近のASEAN市場では、トレンドをしっかりと読みながらも、中身(バルク)と使い勝手をきちんと両立していることが求められていると思います。
インドネシア工場はISO9002を取得し、品質管理は日本の化粧品メーカーのJIS規格に準拠しています。
また日本人スタッフによる徹底した技術指導で、品質管理から充填に至るまで、日本同等レベルで一元管理しています。
インドネシアにありながらジャパンクオリティーを提供しているのですね。
ASEAN市場が成熟し、求められるニーズも高くなりつつある動きをみると、今後輸出には「化粧品GMP」に基づいた製造・品質管理がますます重要になってくると考えています。
もちろん弊社でも認証取得済みです。(※2004年に国際規格ISO90001を取得、2018年ISO22716へ切り替え)
“メイドインジャパン”というだけで商品が売れるというような時代はもう終わり、世界の流行に隔たりがなくなった今、敏感にその地域のニーズを拾い上げ、高い品質で具現化していくことが求められるのですね。
コロナ禍にありながら盛況なASEAN市場への活路を見出すヒントを頂きました。本日は、ありがとうございました。
ブログの内容など掲載製品に関して、お問合せはこちら