いざ「化粧品を創りたい!」と思っても、数多あるOEMメーカーからどこの会社を選んだらいいのか、どんなアイテムを創ったらいいのか、頭を抱える企画担当者が多いのではないでしょうか。
そこでコスメティックプランナー恩田雅世が、外部ならではの視点でホシケミカルズ担当者に切り込み、商品企画のヒントとなるようなトレンド情報や美容の潮流、さらにOEM/ODMの深部にぐぐっと迫る対談企画。他では聞けない裏話もこっそり聞いちゃいます!
登場人物プロフィール
恩田雅世 | ホシケミカルズ広報S | ホシケミカルズ商品企画Y |
コスメティックプランナー。数社の化粧品メーカーで化粧品の企画・開発に携わり独立。現在、フリーランスとして「ベルサイユのばらコスメ」開発プロジェクトの他、様々な化粧品の企画プロデュースに携わっている。コスメと女性心理に関する記事も執筆している。 https://onda-media.com/ |
ヘルスケアアイテムのBtoC広報を経て、 販売時の切り口や訴求点とともに、理性(技術や理論)と感性( |
ホシケミカルズでは異色の化粧品メーカー研究部門出身という企画 化学の豊富な知識や知見に基づき、 |
以前、「2019年ビューティ総括と2020年トレンド予測」でも着目しましたが、 ビューティ業界では “クリーンビューティ”というキーワードを国内外で目にすることが多くなりましたね。
国内大手化粧品メーカーが、海外のクリーンビューティブランドを買収したことも話題になりましたよね。
“オーガニック”や“ボタニカル”に続く、第三のパワーワードになりそうです。
“クリーンビューティ”については、各社が独自に打ち出していて、明確な定義がないようですね。
具体的にはどのようなものを“クリーンビューティ”と呼ぶのでしょうか?
主に、配合する成分が自然由来の原料を使用していたり、身体や環境にやさしい成分を選んでいるブランドが多い印象です。
また、製造から販売後まで、CO2削減やパッケージなども含めて環境への配慮がされていることまで大切にしているブランドもあります。
オーガニックコスメと違って、必ずしも自然由来の成分でなければならないというような縛りはないんですね。自然由来の成分も、人によっては肌に刺激がある場合もありますからね。
そのあたりは、非常にフレキシブルな感じを受けます。お肌や地球環境に優しい成分であれば自然由来成分でなくても配合しているブランドもあります。
お肌や自分達人間だけのメリットではなく動物実験をしない考え方(※)など、地球に住む生き物全体の事を考えた思想を取り入れたブランドも見られますね。
※cruelty-free(クルエルティフリーまたはクルーエルティーフリー)とは?:
商品や活動が動物を傷付けたり殺したりしていない事を示す言葉として普及。
地球や社会、人や動物のために「SDGs(持続可能な開発目標)」(※)を推進していくことが世界的に求められているという背景が、クリーンビューティには大きく影響していると思います。
SDGs(Sustainable Development Goals)とは?
2015年国連サミットにおいて採択された「持続可能な開発目標」のこと。持続可能な社会を実現するために、貧困問題、環境問題、ジェンダー平等の実現などの実現が織り込まれ、2030年までの達成に向けて世界が一致して取り組むべき17の目標で構成されています。
参考リンク:持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取組 (外務省HPより)
容器・原料・OEM製造に関わられている御社では、どのような取り組みをされているのですか?
容器・パッケージにおいては、国内外から調達できる商社の強みを生かし、環境に配慮した最新容器(プラスチック代替容器など)を研究開発している容器メーカーさまと、密に情報交換をしながらご提案をさせて頂きます。
具体的に、どのようなことでしょうか?
また、化粧箱や、シュリンクをやめてバージンシール対応にすることでも、紙やプラスチック削減に貢献できると考えています。
原料についてはいかがですか?
サステナブルを訴求した原料の開発も盛んになってきています。
例えば、製造時のCO2削減や廃棄資源の活用、原産地の働き手へ配慮して作られた原料などに加えて、化粧品に配合することで寄付活動につながるというおもしろい原料もあります。
その原料を使用することで、環境や社会への寄付活動ができるなんて素敵ですね。
そのほかには、近年、海洋汚染で問題になっている「マイクロプラスチック」に分類される化粧品原料の代替品として、環境に優しい「植物性スクラブ」や「生分解性グリッター」などの原料もご紹介できます。
レジ袋が有料になるなど、社会全体が環境に配慮した方向に舵を切っている中、化粧品もやはり自分だけが綺麗になる事を考えるのではなく、環境も含めて美しくなることを考える、という時代なのですね。
クリーンビューティの考え方は、自分も環境も美しくという前向きな心のムーブメントだなと感じます。
自分がキレイになるということだけでなく、できれば地球にも配慮したものを使いたいという高い意識が浸透しつつあるのだと思います。
弊社でも、そのようなニーズにあったOEM商品をご提案していきたいですね
具体的にどのような商材がおすすめですか?
「水の使用量削減」「プラスチック削減」「時短」を可能にした、シャンプーとオイルの2品で上げる、“2ステップヘアケアシリーズ”や、クレンジング・洗顔・ピーリングの機能を兼ね備えた〈3wayウォッシュ〉などがあります。
例えばクレンジング、洗顔、ピーリングと3品使っていたのが1品で済むのは、「水の使用量削減」「脱プラ」「時短」にくわえ、お財布にも優しいですよね。
私達、消費者も今まで当たり前のように使っていたものを一度見直すのによい機会かもしれません。
化粧品はやはり使い心地や使用実感などがとても重要で、そこのクオリティーや満足度を落とさずにどうやって環境にも配慮したものを生み出すかが、私達の技術やアイデアの見せどころだと思います。
御社は、商品開発だけでなく、生産の現場でも環境に配慮された取り組みをされている、とお聞きしました。
はい。弊社グループの主力である群馬工場では、生産時における電力消費量の抑制に努めており、2012年から、温室効果ガス排出削減の実現に向けた群馬県独自の環境マネジメントシステム「環境GS(ぐんまスタンダード)」の認定を毎年受けています。
海外は、日本よりも環境に対する取り組みが数段進んでいる印象がありますが、海外との取引においてもOEM企業として「環境配慮」を行っているということが、選ばれる基準になっていくかもしれませんね。
そうですね。弊社のインドネシア容器工場では、生分解プラスチックを含む特殊な樹脂での容器開発をスタートしています。
コスト、デザイン、化粧品グレードでの耐性など少しずつクリアしていこうという段階です。
アフターコロナの時代は、自分だけが良ければいいという考え方を改める時代になっていくのかもしれません。自分が綺麗になることだけでなく、地球環境にも思いを馳せて商品を選ぶような、広い視野をもったクリーンな美しさがこれからのスタンダードとなっていく可能性を大いに感じました。
本日は、OEMメーカーのサステナブルへの取り込み、クリーンビューティの最新動向をお聴きすることが出来ました。ありがとうございました。
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