1. 成分買いコスメとは
“成分買い(成分指名買い)”とは、2023年のホットトピックスとしても注目された、消費者が特定の成分が配合されている商品を選んで購入することです。その中でも「ナイアシンアミド」「ビタミンC」「CICA(ツボクサエキス)」などの“成分”が配合されているコスメを選ぶのがトレンドとなりました。その後も、特定の成分が配合されているコスメを買う、というムーブメントは続いています。
そこで今回は、“医薬部外品の有効成分”として注目の2成分「ナイアシンアミド」と「ヘパリン類似物質」に着目し、市場動向を見ていこうと思います。

2. シワを改善する指名買い有効成分「ナイアシンアミド」
①成分の特長と背景
「ナイアシンアミド」は、ビタミンB3と呼ばれることもある成分で化粧品にも配合できます。その一方で、以前は「ニコチン酸アミド」という表示名称で医薬部外品の美白有効成分として知られていましたが、2018年に「シワ改善」の有効成分としてデパコスの美容液に初めて配合されたことで認知が広がり始めたと考えられます。
日本で初めてシワ改善有効成分としてナイアシンアミドが配合された化粧水と乳液が、同メーカーから2019年にドラッグストアのコスメブランドでも発売され、さらに人気に火がついていきました。
その成分特長としては“多機能性”が挙げられます。医薬部外品の有効成分として「シワ改善」「美白」「肌荒れ」の3つの効果が認められており、作用機序としてシワ改善のコラーゲン産生促進、美白はメラノソーム輸送抑制が知られています。その他にもセラミド産生促進によるバリア機能改善作用が確認されているデータもあるなど、広範囲でお悩みにアプローチできる成分として注目されています。
②市場品の考察と商品開発ポイント
市場を見てみると、医薬部外品としては“シワ改善”の方をメインで訴求したものが多い印象です。レチノールでは刺激を感じやすく使いにくい層などに、特に重宝されているのではと考えられます。ただ、成分指名コスメとはいえ「ナイアシンアミド」を配合しているだけでは差別化が難しいため、他の成分との組み合わせやテクスチャー、ブランドコンセプトなどでの工夫が重要だと感じます。

化粧品(区分)では「高濃度」を訴求した美容液がトレンドですが、高濃度の定義が不明確なこと、濃度が高いことによる刺激の可能性、あくまで自社商品との比較としての“高濃度”訴求とするといった配慮や検討が大切です。
③最短で商品化が可能な承認済みODM医薬部外品
薬用エッセンスna(ナイアシンアミドエッセンス)
薬用ジェルクリームna(ナイアシンアミドジェルクリーム)
3. 医療費負担増で再注目の指名買い保湿有効成分「ヘパリン類似物質」
①成分の特長と背景
「ヘパリン類似物質」は、乾燥肌の治療成分として50年以上使われてきており、化粧品では医薬部外品にのみ配合が認められている成分です。体内にある「へパリン」という物質と似た成分で、高い保湿機能に加えてバリア機能改善や血行促進などの作用があることで知られています。
ヘパリン類似物質配合薬で有名な「ヒルドイド」を含む特許が切れた先発医薬品の一部について、2024年10月より患者の窓口負担が増えることが厚生労働省から発表されたことから、医薬部外品市場の後押しになるのではと期待されます。

②市場品の考察と商品開発ポイント
市場での認知は広がっているものの、ヘパリン類似物質は医薬部外品申請の技術的ハードルもあるためか、全体的な数はナイアシンアミド配合商品ほど多くない印象です。まだまだ、市場拡大のチャンスがあるかもしれません。
③最短で商品化が可能な承認済みODM医薬部外品
薬用モイストヘルパーミルク(ヘパリンミルク)
※抗シワ効能評価試験済み処方です。
薬用ヘパリンジェルクリーム
薬用プロテクションUV(ヘパリンUVクリーム)
※「SPF44・PA++」表記が可能(データ取得済み処方)

4.まとめ
「ナイアシンアミド」は、化粧品だけでなく医薬部外品の有効成分としても人気の指名買い成分で、この需要はこれからも続くものと見込まれます。
一方「ヘパリン類似物質」は、化粧品(区分)には配合できない成分です。先述した病院などで処方される薬の自己負担の見直しは、ヘパリン類似物質が配合されている医薬品「ヒルドイド」の美容目的による使用をけん制する意図もあると言われています。少子高齢化社会の日本において、医療費の増大は国保の財政を圧迫し、さらなる保険料の引き上げを引き起こします。消費者が本当に欲しいと思うものを企業がつくり、それを消費者が選ぶという健全なサイクルが回り、病気で悩まれている真に必要としている方へ医薬品が届くように願います。
(執筆者:恩田雅代)
ビタミンC誘導体など、上記以外の成分買いコスメについてはこちら
ホシケミカルズの「化粧品OEM」について詳しく知りたい方はこちら

そこでキャッチした話題やホットなテーマについて、外部のコスメティックプランナー恩田雅世さんと定期的にトーク&ディスカッションする時間を設けています。“OEM企業ならではの視点”で深掘りしたり、ブームの背景を探り商品やトレンドを分析、さらには、少し先の未来を予測してみたり…!4名の座談会を元に記事化しています。
登場人物プロフィール
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恩田雅世 コスメティックプランナー。 数社の化粧品メーカーで化粧品の企画・開発に携わり独立。 現在、フリーランスとして「ベルサイユのばらコスメ」開発プロジェクトの他、様々な化粧品の企画プロデュースに携わっている。コスメと女性心理に関する記事も執筆している。 https://onda-media.com/ |
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ホシケミカルズ広報S ヘルスケアアイテムのBtoC広報を経て、 販売時の切り口や訴求点とともに、理性(技術や理論)と感性( |
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