いざ「化粧品を創りたい!」と思っても、数多あるOEMメーカーからどこの会社を選んだらいいのか、どんなアイテムを創ったらいいのか、頭を抱える企画担当者が多いのではないでしょうか。
そこでコスメティックプランナー恩田雅世が、外部ならではの視点でホシケミカルズ担当者に切り込み、商品企画のヒントとなるようなトレンド情報や美容の潮流、さらにOEM/ODMの深部にぐぐっと迫る対談企画。他では聞けない裏話もこっそり聞いちゃいます!
登場人物プロフィール
恩田雅世 | ホシケミカルズ広報S | ホシケミカルズ商品企画Y | ホシケミカルズ販促M |
コスメティックプランナー。数社の化粧品メーカーで化粧品の企画・開発に携わり独立。現在、フリーランスとして「ベルサイユのばらコスメ」開発プロジェクトの他、様々な化粧品の企画プロデュースに携わっている。コスメと女性心理に関する記事も執筆している。 https://onda-media.com/ |
ヘルスケアアイテムのBtoC広報を経て、 販売時の切り口や訴求点とともに、理性(技術や理論)と感性( |
ホシケミカルズでは異色の化粧品メーカー研究部門出身という企画 化学の豊富な知識や知見に基づき、 |
販促担当としてメルマガや動画の撮影& 前職での複数のソーシャルメディア運営実績を活かし、 |
今回は、Z世代に響く“ビューティ&サービス”についてお聞きしたいと思います。今や“Z世代”は、商品やサービスを構築していく上で、外せないキーワードになってきています。
そうですね。全世界の人口約25%を占めると言われるZ世代(2022年時点)は、次世代消費を担う世代として世界的に注目を集めており、今後消費活動をけん引していくと考えられています。
まずは、Z世代の特徴を教えていただけますか?
デジタルネイティブで新しい価値観を持つ「Z世代」とは!?
一般的に1990年代後半~2012年頃に生まれた世代を指すと言われています。
生まれた頃からインターネットやデジタルデバイスが一般的に普及しており、子どもの頃からパソコン・スマホなどのデジタル機器を使いこなしている世代です。
(参考資料)経済産業省(2022)「新しい市場ニーズへの対応」p.4
※年齢定義には諸説あります。
インターネットが情報収集の主な手段で、SNSを通じたコミュニケーションが活発な世代ですよね。
ダイバーシティ(多様性)やインクルージョン(排除しない・一体性)への意識が強く、社会問題に対しても関心が高い傾向にあると言われ、現実主義で夢よりも安定や現実の生活を充実させることに重きを置く人が多いと言われています。
では、そんなデジタルネイティブで新しい価値観をもつ“Z世代に響く”ビューティアイテムやサービスとはどのようなものなのでしょうか。まず、消費行動の特徴を教えていただけますか?
消費行動は「タイパ」「共感性」「イミ消費」がキーワード
「コスパ(費用対効果)」よりも「タイパ(時間対効果)」を重視する傾向にあると言われています。短時間で高い満足感を得られるような消費行動を好む人が多いのが特徴です。
まさにSNSとタイパの考え方は相性が良いのでしょうね。あとは、商品やサービスを選択する際に、コンセプトや開発ストーリーへの「共感性」を重視する傾向があるとも言われています。
「共感」を寄せるインフルエンサーがおすすめする商品を購入する、というのはわかりやすい行動例だと思います。
コスパやタイパの悪いお金の使い方を嫌う傾向にある半面、「推し活」や「推し消費」といった自身が価値を感じるものに対してお金を惜しまない「イミ消費」をする側面があるのも特徴的です。
多くの新興・中小企業の場合、価格競争だけでは大手企業にかなわない部分もあるため、理想としてはZ世代が多少お金をかけてでも欲しいと思ってくれるものを開発・提供することを目指していきたいところですよね。
それでは、市場のビューティアイテムの傾向についても考察していきたいと思います。
Z世代向けコスメやサービスの傾向とアプローチ手法
写真を加工するのが当たり前のZ世代において、涙袋形成・人中短縮コスメといった、加工と現実のギャップを埋めるようなメイクアップ商品が出てきています。
環境問題に関心の高いZ世代に向け、サステナブルに対応したパッケージを採用しているブランドも見られますね。
多様性を尊重し、個性を重視する傾向に合わせたパーソナライズドコスメや、バーチャルメイク機能でなりたい自分をシュミレーションできるような先進のテクノロジーを掛け合わせたハイブリッドコスメで、デジタルネイティブに響くような訴求をするなど、Z世代をターゲットにしていることを前面に出したコミュニケーションを行っている企業もあります。
もともとはZ世代向けとして展開していなかったブランドも大きく舵をきり、Z世代向けの広告活動を行うことで認知を広げる手法をとっているブランドもありますよね。
その手法として共通するところもあるのですが、ビューティサービスについてもZ世代ならではの傾向が見られるようになりました。
具体的に教えていただけますか?
「タイパ」を重視するZ世代は、情報収集にTikTokを初めとした「ショート動画」を利用する傾向があると言われています。今ではInstagramの「リール」や、LINEの「VOOM」をはじめとする様々なプラットフォームやアプリで、ショート動画専用ページが追加されるほど当たり前になりました。これにより、多くのブランドが自社でショート動画によるPRにも力を入れ始め、インフルエンサーに動画作成まで依頼し認知拡大を図ることもあるようです。
Z世代ならではの情報の出し方が大切なのですね。
但し、Z世代は動画で知った商品に対し、企業のホームページよりもTwitterやInstagramで調べる傾向がある為、そこでの情報がゼロだと「企業やメディアが言っているだけ」と思われてしまう可能性があり、包括的なSNSアプローチも大切です。
御社でもZ世代の方が活躍されているとお聞きしました。
動画で見るほうが伝わりやすいですね。
そうですね、動画でこそ説明しやすい部分もあると思います。ただ動画に限らず、いかに情報がきちんと伝わるかを考えていくことは大切だと感じます。
では、最後にZ世代の消費傾向についてまとめていただけますでしょうか?
Z世代の消費傾向から探る“商品開発”のポイント
Z世代は「映え」や「社会問題」への意識の高さが象徴的で、“情報収集の手間がはぶける”、“誰かのお墨付きという安心感がある”、“失敗が少ない”商品やブランドを好む傾向があります。
「タイパ」や「リスク回避」を意識した消費を好むということですよね。
そのような傾向があってか、実際に色々話を聞いてみると、Z世代は上の世代が想像する以上に“息をするように”SNSを活用している実態を改めて理解する必要があると感じました。
正直、私の世代からは想像できないくらいのギャップを感じます。
今後Z世代に向けた訴求は、SNSなどのサービスを駆使していくことは避けられないので、「開発やプロモーションの現場にZ世代を起用していく」というのも一つの方法かと思います。
“Z世代”が開発したことを一つのPRとして活用しているZ世代向けのブランドも多かったですね。
育ってきた時代により習慣や発想も異なるので、社内の世代間の意見交換を活発にすることで、実際にZ世代に響く商品やサービスの在り方が見えてくることも多いと考えられます。
Z世代向けの商品やサービスについて迷った場合は、まず社内のZ世代に話を聞いてみるところから始めてみるのも、いいかもしれませんね。
本日は、“Z世代の商品・サービス・アプローチ”について特性を踏まえながら幅広くお聞きすることができました。ありがとうございました。